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学習塾業界3:高大接続システム改革と教育無償化

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大学入試改革(高大接続システム改革)

 学習塾の今後を考えるうえで念頭に置くべきことの一つが「大学入試改革」です。ご存知の方も多いかと思いますが、昨年の3月末に『高大接続システム改革会議「最終報告」』が提出されました。

現在の高等学校教育、大学入学者選抜試験、大学教育の課題として、

高等学校教育:授業改善への取組も見られるが、学力の3要素*1」を踏まえた指導が十分浸透していない

 大学入学者選抜知識の暗記・再生や暗記した解法パターンの適用の評価に偏りがち一部のAO・推薦入 試はいわゆる「学力不問」と揶揄される状況

大学教育:授業改善への取組も見られるが、知識の伝達にとどまる授業も見られ、学生の力をどれだけ伸ばし 社会に送り出せているのかについて社会から厳しい評価。

(高大接続システム改革会議 「最終報告」【概要】より)

 との認識のもと、 

多様な背景を持つ子供の夢や目標の実現に向けた努力をしっかりと評価し、社会で花開かせる 高等学校教育改革大学教育改革及び大学入学者選抜改革を創造すべく、これらをシステムと捉 え、一貫した 理念の下、一体的に改革(高大接続システム改革に取り組む。

(高大接続システム改革会議 「最終報告」【概要】より)

 とされています。もう少し具体的には、

・2019年(平成31年)高等学校基礎学力テスト(仮称)導入

・2020年(平成32年):センター試験に代わる大学入学希望者学力評価テスト(仮称)を導入

個別大学における入学者選抜改革にも取り組む

 

ということのようです。

 

高等学校基礎学力テスト(仮称)

それぞれについて、気になる点を確認したいと思います。

まず、高等学校基礎学力テストの位置づけですが、当面、受験には関係なく、将来的にどうするかは、別途、検討ということのようです。内申点等にどう影響するのかはよくわかりません。

【結果活用の在り方】

○ 生徒自身による学びの質の向上や、各学校における指導の工夫・充実に生かすとともに、国や 都道府県等における教育施策の改善等に生かす。

平成31年度から平成34年度の「試行実施期」においては、大学入学者選抜や就職等には用 いず、本来の目的である学習改善等に用いながら、その定着を図ることとし、そこで得られた実証 的データや関係者の意見を踏まえながら検証を行い、必要な措置を講じる。 平成35年度以降の大学入学者選抜や進学・就職等への活用方策については、仕組みの定着 状況やメリット・デメリットを十分に吟味しながら、関係者の意見を踏まえ、更に検討

(高大接続システム改革会議 「最終報告」【概要】より)

 

 大学入学希望者学力評価テスト(仮称)

センター試験に代わる大学入学希望者学力評価テスト(仮称)について、その詳細は平成29年度初頭、すなわち、この4月以降に具体的方針が示されるようです。

簡単にまとめると、

  1. 2020年(平成32年)から「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する共通テストを行う
  2. マークシートの問題も「思考力・判断力・表現力」を重視した内容にする。
  3. 記述式の問題は「条件付き記述式」を中心に出題。当面は国語、数学。
  4. 英語については、「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」、「書くこと」の評価を推進。「話すこと」については、環境整備や採点等の観点から、 2020年度(平成32年度)当初からの実施については検討中

ということのようです。詳細は下記の通りですが、学生だけでなく教える方も採点する方も大変なことになりそうな内容で、まだ決まっていないことも多いようです。

【目的・対象者】

○ 大学入学希望者を対象に、これからの大学教育を受けるために必要な能力について把握 することを主たる目的とし、知識・技能を十分有しているかの評価も行いつつ、「思考力・判断力・表現力」を中心に評価

【対象教科・科目】

○ 次期学習指導要領下における基本的枠組み(平成36年度~)

・ 次期学習指導要領の趣旨を十分に踏まえ、特に思考力・判断力・表現力を構成する諸能力をより適切に評価

次期学習指導要領での導入が検討されている「数理探究(仮称)」や、教科「情報」につい ても出題

○ 現行学習指導要領下における基本的枠組み(平成32~35年度)

次期学習指導要領改訂の議論の方向性を勘案するとともに、大学教育を受けるために必要な諸能力をより適切に評価。

・ 試験の科目数については、できるだけ簡素化。

【マークシート式問題】

○ より思考力・判断力・表現力を重視した作問へ改善。

(例)正解が一つに限られない問題、正解を選択させるのではなく、数値や記号等を直接マークさ せる問題など

○ 評価結果については、現在よりも多くの情報(例えば、各科目の領域ごと、問ごとの解答状況も合わせて提供するなど)を各大学に提供。

【記述式問題】

○ 今後どのような分野においても主体性を持って活動するために重要となる、複数の情報を統合し構造化して新しい考えをまとめる思考・判断の能力や、その過程を表現する能力の評価の ため、記述式問題を導入する。

○ 共通テストに記述式を導入することにより、高等学校教育を生徒の能動的な学習をより重視 したものに改善。諸外国の大学入学資格試験でも記述式は多い。 (例)英国のGCE-Aレベル、独のアビトゥーア、仏のバカロレアなど

国立大学の二次試験のような解答の自由度の高い記述式ではなく、設問で一定の条件を設定し、それを踏まえて結論や結論に至るプロセス等を解答させる「条件付記述式」を中心に作問。対象は、当面、国語、数学。

平成32~35年度:短文記述式、平成36年度~:より文字数の多い問題を導入

○ 評価結果は段階別表示。

○ 採点業務を効率的・安定的に実施するための補助として、答案のクラスタリング(類似した 解答ごとにグープ化)などの業務にコンピュータを効果的に活用することも含め、新たな技術 の開発と活用を積極的に進める。

実施時期については、高等学校教育への影響や大学入学者選抜の合否判定のタイミング 等に関する関係者の意見も聞きながら、マークシート式問題と同日に実施する案、マークシー ト式問題とは別の日に実施する案のそれぞれについて、十分に検討

【英語の多技能を評価する問題】

四技能の評価を推進。このうち「話すこと」については、特に環境整備や採点等の観点から、 平成32年度当初からの実施可能性について十分に検討))
【複数回実施】

○ 日程上の問題、CBTの導入や等化等による資格試験的な取扱いの可能性などを中心とし て、引き続き検討。
【今後の検討体制】

「最終報告」後、文部科学省において、関係団体等の参画を得て、改革の狙いを具体化する ための方法等について実証的・専門的に検討、新テストの実施方針(平成29年度初頭)に反 映

(高大接続システム改革会議 「最終報告」【概要】より)

 

個別大学における入学者選抜改革

最後に個別大学における入学者選抜ですが、「学力の3要素」を総合的に評価し、「多様な背景をもつ受験者を選抜」し、「AO入試だからといって、「学力不問」はダメ」ということのようです。

こちらも、この春に何らかの「予告」があるようです。

 ○ 「学力の3要素」を多面的・総合的に評価する入学者選抜への改善

各大学において、卒業認定・学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針を踏まえた入学者 受入れの方針において、「学力の3要素」に関し、入学希望者に求める能力と評価方法の関係を 明確化し、それに基づく入学者選抜を実施するものへ改善。 今後、「学力の3要素」を評価するため、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入によ る「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」の十分な評価とともに、調査書や大学入学希望理由 書、面接など多様な評価方法を工夫しつつ、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」 についての評価を重視すべき。

多様な背景を持つ受検者の選抜

年齢、性別、国籍、文化、障害の有無、地域の違い、家庭環境にかかわらず、多様な背景を持 つ入学希望者がより適切に評価される仕組みを構築。

入学者選抜で学力の評価が十分に行われていない大学における入学者選抜の改善

多様な評価の方法(小論文、プレゼンテーション、推薦書等)、出題科目の見直しや作問の 改善、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の活用、調査書の有効な活用等により入学者 選抜を改善。

大学入学前の多様な学習や活動に係る調査書や提出書類等の改善 ・「調査書」の見直しや「推薦書」の見直し ・入学希望者本人が主体的に記載する「活動報告書」「学修計画書」等の積極的な活用 【平成29年度初頭を目途に予告。平成32年度から実施される選抜から適用

(高大接続システム改革会議「最終報告」【概要】より)

  

教育国債発行とこども保険

 お子さんをお持ちの家庭は状況がよくわからず、不安が募っている状況ではないでしょうか。家計に余裕があり、本人にやる気があれば、どこかいい塾に入れてあげたいを考えるでしょう。

そのようなかで、昨日、今日と家計からの教育費支出に影響を与える記事がありました。 

www.nikkei.com

  

www.nikkei.com

 

少なくとも「教育無償化」は国策として動き始めていると考えてよいのではないでしょうか。そうなれば、学習塾業界にも追い風がいてくるのは間違いないでしょう。

ただし、対応できない学習塾(対応できないと判断された学習塾)が淘汰されるなかで、業界再編が一層進んでいくのかもしれません。

 

 

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高大接続改革: 変わる入試と教育システム (ちくま新書1212)

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*1:

(1)十分な知識・技能(2)それらを基盤にして答えが一つ に定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力等の能力、(3)これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度